朝どれソング
朝どれソングとは...
ソングを毎月7日に2曲ずつ、二年間かけてお届けします。まずは萩京子作曲のソングを24曲、そして林光作曲のソングを24曲。とれたてのみずみずしい食べ物のように、みなさんのエネルギーの源になることを願って。
今月のソング(2019年5月7日公開)
♪水はうたいます〈沖まどか、川中裕子〉
♪ひびかせうた〈小田藍乃〉
映像:和久井幸一
【萩京子・作曲ノート】
水はうたいます
詩:まど・みちお、曲:萩京子
はじまりも終わりもない長い長い時間のなかの「いま」。
宇宙の無限の空間のなかの「ここ」をいつも感じさせてくれるまど・みちおさんの詩。
そのなかに地球の営みを語る詩がいくつもあります。
地球という星を考えるとき、地球を作り上げている要素として「もとのもと」は何か?と言えば「水」ではないでしょうか?
「大地」もそうかも知れないけれど、何しろ「地球は水の惑星」です!
水は植物や動物すべての生きるものにとって大切な食べ物です。
水はなかなかじっとしていなくて、常に動いています。
水が動くとき音を奏でます。
そのことをまど・みちおさんは「水はうたいます」と表現したんですね。
今は川となって流れている水。
いえいえ、流れているのではなくて走っているんですね。
いろいろな姿になって、長い時間旅を続ける水をうたっています。
次は何になるかな?と考えているのでしょうか?
走りながら考える水?
右手で奏でる4度の音型が降ってくるみたいな前奏を思いついて、今は静かな川の水を眺めながら、激しかったこともある昔を思い出すような気持ちで曲ができました。
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水はうたいます
水は うたいます
川を はしりながら
海になる日の びょうびょうを
海だった日の びょうびょうを
雲になる日の ゆうゆうを
雲だった日の ゆうゆうを
雨になる日の ざんざかを
雨だった日の ざんざかを
虹になる日の やっほーを
虹だった日の やっほーを
雪や氷になる日の こんこんこんこんを
雪や氷だった日の こんこんこんこんを
水は うたいます
川を はしりながら
川であるいまの どんどこを
水である自分の えいえんを
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ひびかせうた
詩:木島始、曲:萩京子
木島始さんは「ひびかせうた」という題でいくつも詩を書いています。
そのなかで、私が一番はじめに曲にしたいと思ったのが、この「しいんとしずまるなかで~」で始まる詩です。
「しーん」ではなくて「しいん」というところに引きつけられました。
その静けさにはぴんと張りつめた空気を感じます。
詩のひとつめのかたまりは、静けさ、耳をかたむけること、きびしくかたい たねが語られます。
ふたつめのかたまりは、薄暗がり、しなやかさ、やわらかいやさしい つぼみ。
この対称が心に響きました。
「ひびかせうた」なんだな、と思いました。
私が歌を作曲するときの原点のような曲です。
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ひびかせうた
しいーんと しずまるなかで
かたいきびしいたねのうたが
こころに つちに しみこんでくる
わたしが みみかたむけるのは
そのたねのうた
きびしいかたいたねのうた
ほのかな うすくらがりで
やさしいやわらかいつぼみのうたが
ひっそり しなやかに ふくらんでくる
わたしが ふきならしたいのは
そのつぼみのうた
やわらかいやさしいつぼみのうた
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