映像：和久井幸一

【萩京子・作曲ノート】

ジャストマイサイズ
詩：朝比奈尚行、曲：萩京子

オペラ『ガリバー』のなかで、女のガリバーが歌う。
朝比奈尚行さんにガリバーのオペラ台本を依頼した。
朝比奈さんは魅力的な俳優であり作家であり、音楽的にもすばらしい才能の持ち主である。
私は特に詩人としての朝比奈さんにほれ込んでいる。
その朝比奈さんに、原民喜の訳による「ガリバー旅行記」をもとにして、大人国も、小人国も、飛ぶ島ラピュタも馬の国も全部入れてほしいという、無理な注文をした。
そうしたら朝比奈さんは3人のガリバーを登場させて台本を書いた。
第1のガリバーはスイフト。
第2のガリバーは原民喜。
そして第3のガリバーは女。
朝比奈さんはこの第3の女のガリバーにこれからの世界を託した。
第3のガリバーがヤーフのこどもを身ごもる結末。 人間の醜さも抱え込む覚悟。
そして嵐の真っただ中へ漕ぎ出す。
この「ジャストマイサイズ」は、女のガリバーが世界の中で自分をどうとらえるか、を歌った歌。