◆No.2 公演報告 2018-10-09
オペラ『イヌの仇討あるいは吉良の決断』公演、連日満席大盛況の中、全14ステージを無事に終えることができました。ご来場いただきましたみなさま、公演を支えてくださったみなさま、ありがとうございました。15年ぶりに蘇ったこの大作を、2018年のいま、新演出にて公演できたことをこころに刻み、こんにゃく座はまた次へ進んでまいります。
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写真:前澤秀登
■第一幕
元禄15年12月15日未明、吉良上野介の屋敷。赤穂浅野内匠頭家来による討ち入りの最中。
お勝手台所の物置に逃れてきた上野介、上野介の側妻お吟、女中頭お三、近習の清水一学、大須賀治部右衛門、榊原平左衛門、お犬さま付女中のおしのとおしん、そしてお犬さま。
そこへ、坊主と子どもには刃を向けないという赤穂方の取り決めに乗じ、屋敷内の危機をかいくぐって、牧野春斎が入ってきた。以降数度、部屋を出入りすることになるこの春斎によって、上野介たちは、赤穂方の情報、総大将大石内蔵助の様子などを聞くこととなる。
すると、部屋のかたすみにあった長持からおおきなくしゃみが。盗ッ人の砥石小僧新助が隠れていたのだった。上野介たちは、新助の口から「浅野は気の毒、上野介様憎し」などの町方の風評を聞く。
「上野介はなぜそこまで世間から憎まれねばならぬのか」との問いに新助は答える。
コメや諸色の値上がりで苦しくなっているところへ例の生類憐みの御禁令。世間はお上のなされように首をかしげる。 そこへ前年の殿中での刃傷沙汰。浅野の殿様は即日切腹、御家は断絶。
その一方で、お上はご寵愛のお犬さままで付けて、「養生せよ」と吉良をねぎらった。世間は「お上は自分のイヌには大甘だ」と見ていること、人々はお上のお名代のイヌ、すなわち吉良が討たれることを望んでいる、と伝える。
イヌと言われて逆上し「わしには討たれる理由なぞ何ひとつない!」と叫ぶ上野介に、一学が当て身を食わせる。
■第二幕
上野介は夢を見る。四方の山は桃の花盛り。そこには茅葺きの一軒家があり、上野介たちはなごやかに暮らしている…。
一学たちは、近隣の親類衆に援軍を頼みに行く計画をたてる。が、春斎の報告により、大石らが死を覚悟していることを知った上野介は、このたびの討ち入りを仇討ちにあらずと見た。
そして、赤穂の仇討ちを心待ちにするようになった世間と同じように移り気なお上が、世間とくされ合って、世のそしりが上野介に集まるようにし向けていた、と考える。
上野介は次第に大石の真意を理解する。上野介の首は大逆隠し、討ち入りのねらいは、お上のなされ方万端に対して、弓引き楯突き挑みかかることであると。
上野介は、大石らとともに死武者となることで、大石と組んでお上に挑むことを決意し、ゆっくりと自らの足で戸口から表へと出ていく。
オペラシアターこんにゃく座公演
オペラ『イヌの仇討あるいは吉良の決断』新演出
原作:井上ひさし
台本・作曲:林光
演出:上村聡史
美術:乘峯雅寛
衣裳:宮本宣子
照明:松本大介
殺陣:渥美博
音楽監督:萩京子
舞台監督:大垣敏朗
演出助手:生田みゆき
宣伝美術:小田善久(デザイン)、信濃八太郎(イラスト)
照明操作:(株)ステージ・ライティング・スタッフ 石坂晶子、笹田真珠、小嶋愛梨
大道具製作:(株)C-COM 伊藤清次
小道具:高津装飾美術(株)
衣裳製作:宮本宣子ワークショップ
衣裳協力:松竹衣裳株式会社(中司映利子)
稽古ピアニスト:関直子、湯田亜希
座内演出部:西田玲子、大久保藍乃、荒井美樹
座内衣裳部:鈴木裕加、川中裕子、高岡由季
制作部:忠地あずみ、湯本真紀、大原小夜子、田上ナナ子、土居麦、森友希、
高橋志野(票券)、森かなで
協力:ニケステージワークス
●出演
吉良上野介義央 | 清水一学 | ||
---|---|---|---|
大石哲史 | 髙野うるお | 島田大翼 | 北野雄一郎 |
大須賀治部右衛門 | 榊原平左衛門 | ||
大久保哲 | 金村慎太郎 | 武田茂 | 富山直人 |
牧野春斎 | お三さま | ||
青木美佐子 | 沖まどか | 相原智枝 | 岡原真弓 |
おしの | おしん | ||
熊谷みさと | 小林ゆず子 | 齊藤路都 | 飯野薫 |
お吟さま | 黒衣甲 | ||
梅村博美 | 山本伸子 | 北野雄一郎 | 島田大翼 |
砥石小僧新助 | 黒衣乙 | ||
佐藤敏之 | 泉篤史 | ヴァイオリン:手島志保/山田百子 ピアノ:寺嶋陸也/五味貴秋 |
●会場 吉祥寺シアター
●日時 2018年9/14(金)~23(日)
●助成 文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
●提携 公益財団法人 武蔵野文化事業団
●主催・制作 オペラシアターこんにゃく座