オペラ『さよなら、ドン・キホーテ!』特集ページ

オペラシアターこんにゃく座創立50周年記念公演〈第二弾〉として公演する、オペラ『さよなら、ドン・キホーテ!』
これまで、たくさんの観客を笑いと涙の渦に巻き込んだ、鄭義信×萩京子による新作書下ろしオペラです。
いまの時代を生きるわたしたち熱くする、エネルギー溢れるオペラの誕生です。


◆オペラ『さよなら、ドン・キホーテ!』ものがたり

1940年代フランスのいなか町。古い厩舎のある牧場で馬を飼って暮らす、トーマスベルの父娘。馬は戦地へと駆り出され、もう何頭も残っていない。
ベルは学校が嫌いだ。自分らしくいることのできない学校になんか行きたくない、と、いつも厩で本を読んで過ごしている。大好きなのは「ドン・キホーテ」。 いつか自分は男になって世界を旅する騎士になることを夢みている。

大親友である馬のロシナンテが戦地へと送られる前にふたりで旅に出ようと、ベルはある夜こっそり家を抜け出そうとする。その時物音がし、厩の隅に隠れていた少女サラをみつける。サラは家族とはぐれ逃げ延びてきた、ユダヤ人だった。
サラから家族と離れ離れになってしまった経緯を聞いたベルは、サラに、「僕が君を守ってあげる」と約束する。笑顔を取り戻したサラ。
しかし、戦場と距離を隔てた町にも戦争の影は忍び寄って来る……。

片足が悪く兵士になることができない馬丁のルイ、過去を抱えパリから移り住んできたベルの担任のオードリー、ルイとは幼馴染の青年サイモン、そして厩舎で飼われる“馬”のロシナンテとサンチョ
2匹の馬と、ある家族をとりまく物語。


◆登場人物相関図


※画像をタップすると拡大します。



公演報告

オペラ『さよなら、ドン・キホーテ!』は緊急事態宣言下の9月26日に無事千穐楽を迎えることができました。
ご来場いただきましたみなさま、本当にありがとうございました。
本公演を心待ちにしてくださっていて、今回はさまざまな事情でご来場いただけなかった方もいらっしゃったかと思います。
こんにゃく座は、自らオペラを携えて、日本全国へ出かけていきます。
本公演も来年12月から旅公演を予定しておりますので、お近くで公演がある際に足をお運びいただけましたら、座員一同大変うれしく思います。

◆写真で見る物語

第一幕

一場

フランスの片田舎、厩舎で父のトーマスと暮らしているベル。
いつの日か自分は男になるんだと思っているベルは、学校が嫌いだ。
年老いた愛馬ロシナンテと、駄馬のサンチョ。ベルは二匹を連れて、ドン・キホーテのような騎士になって世界を旅することを夢見ている。



二場

厩舎で働く馬丁のルイ。
みなが寝静まったころ、外に出て暗がりに懐中電灯で合図をし、あらわれた幼馴染のサイモンにこっそり食料を渡す。



同じ夜。軍にロシナンテを売られてしまう前に抜け出そうと、ベルが厩舎にやってくる。なぜか一緒についてくるサンチョ。



その時、暗がりからあやしい物音がして見に行くと、そこにいたのは一人の少女。
強制収容所に送られる寸前に逃げ出してきたユダヤの少女、サラだった。



ひとりぼっちで泣いているサラを慰め、ベルは、自分がサラを守ると誓う。



三場

自転車に乗って、ベルの担任のオードリーがやってくる。
戦時中とはいえ、勉学をおろそかにすることは許されないとトーマスに説き、
ベルを学校に連れて行こうとする。



誰もいなくなった厩舎にやってきたベルとサラ。サラは久しぶりにのびのび手足を伸ばせる感覚を楽しんでいた。



お父さんとお母さんはどうしたのと尋ねるベルに、サラは家族のこと、そして自分の体験を語り始める。



ユダヤ人であるために迫害され、家族とも離れ離れになり泣き崩れるサラに、
「ぼくがそばにいる、ぼくが君を守ってあげる。君はぼくのドゥルシネア姫なんだから!」とベルは言う。



ふたりは、ドン・キホーテの“ライオンと戦う”くだりを演じて遊ぶ。



トーマスとルイ、オードリーが家から出てくる。
とっさにサラを「い、い、従妹のエマ!」と取り繕うベル。
トーマスは「父さんはお前を信じてる。悪いこと、ずるいことはぜったいしない……そうだな?」とベルに問い、多くは聞かず家に入っていく。



第二幕

一場

祭りの夜。軍に兵隊にとられて村には人がほとんどおらず、寂しい。
ルイとオードリーはふたりでダンスをしている。



突然銃撃の音が響き、血を流したサイモンが駆け込んでくる。サイモンはレジスタンスに参加していた。迷惑はかけられないと、治療もそこそこにすぐに去っていくサイモン。



二場

ロープをつけられて引かれてくるサンチョ。
老い先短い自分でなく、サンチョが連れられていくことを嘆くロシナンテ。
連れていかれるサンチョ。



サンチョが連れていかれる姿を見ていたサラ。
ベルに学校に行ったほうがいいと諭す。
ベルは、自分が学校で友達から受けたことをサラに打ち明ける。
神に祈るサラ。



昼間から酔っぱらうルイ。足が悪いせいで兵士にもなれず、レジスタンスにも加われない……。
生きるのがつらいと泣くルイ。



三場

オードリーが来る。ベルが学校に行く、と言いだしたので迎えに来たのだった。



バイクの音。突然ドイツ兵がやってくる。ルイがサラのことを密告したのだ。
ルイを激しく非難するトーマス。



捕らえられて引きずりだされるサラ。
その時急にロシナンテが暴れだし、ドイツ兵がうろたえているうちに、サラを逃がすベル。
ルイはドイツ兵を挑発し自ら彼らに向かっていく。



サラとルイがどうなったのかわからない絶望のなか、ふたりが生き延びるよう、そしてまた会えるように、と神に祈るベル。



そんなベルにロシナンテは、一緒に冒険の旅に出ましょう! 行きましょう! と励まし、箒を差し出す。
くじけそうになる心を奮い立たせて、ベルは自分が自分であるために、愛のために闘うと誓う。





オペラシアターこんにゃく座創立50周年記念公演〈第二弾〉
オペラ『さよなら、ドン・キホーテ!』新作初演


台本・演出 鄭義信
作曲 萩京子

美術 池田ともゆき
衣裳 宮本宣子
照明 増田隆芳
振付 伊藤多恵
擬闘 栗原直樹
音響 藤田赤目
舞台監督 藤本典江
舞台監督助手 松浦孝行
音楽監督 萩京子
宣伝美術 小田善久(デザイン)+伊波二郎(イラスト)

照明操作 (有)ブライト 永井笑莉子、平野景子、田中里歩
音響操作 鈴木三枝子
美術アシスタント 片平圭衣子
擬闘アシスタント 西村聡
大道具製作 (株)C-COM、オペラシアターこんにゃく座
衣裳製作 (有)はせがわ工房、永橋康朗、板原寿子、橋本ことぢ
稽古ピアニスト 湯田亜希
写真撮影 前澤秀登
記録映像撮影 和久井幸一、高良真剣、新藤早代
録音 (有)コジマ録音
演出助手 西田玲子
演出部 泉篤史、金村慎太郎、小田藍乃
衣裳部 熊谷みさと、山本伸子、入江茉奈
票券 齊藤路都
制作 田上ナナ子、忠地あずみ、湯本真紀、大原小夜子、土居麦、高橋志野
協力 佐藤花、山本圭太、丸山秀彦

◆出演

青組                           
沖まどか
沖まどか
ベル
飯野薫
飯野薫
サラ
佐藤敏之
佐藤敏之
トーマス
島田大翼
島田大翼
ルイ

梅村博美
梅村博美
オードリー
大石哲史
大石哲史
ロシナンテ
富山直人
富山直人
サンチョ
壹岐隆邦
壹岐隆邦
サイモン


赤組                                            
高岡由季
高岡由季
ベル
小林ゆず子
小林ゆず子
サラ
髙野うるお
髙野うるお
トーマス
北野雄一郎
北野雄一郎
ルイ

岡原真弓
岡原真弓
オードリー
武田茂
武田茂
ロシナンテ
富山直人
富山直人
サンチョ
吉田進也
吉田進也
サイモン


服部真理子
服部真理子
ピアノ
(9/18青、19青、21青、22青、
23赤、24赤、25赤)
大坪夕美
大坪夕美
ピアノ
(9/20赤、21赤、22赤、23青、
24青、25青、26赤)


会場 吉祥寺シアター
公演日程 2021年9月18日(木)~26日(日)
助成 文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)│独立行政法人日本芸術文化振興会
提携 公益財団法人武蔵野文化事業団
主催・制作 オペラシアターこんにゃく座
写真:前澤秀登
オペラシアターこんにゃく座
〒214-0021
神奈川県川崎市多摩区宿河原7-14-1
044-930-1720
info@konnyakuza.com