朝どれソング
朝どれソングとは...
ソングを毎月7日に2曲ずつ、二年間かけてお届けします。まずは萩京子作曲のソングを24曲、そして林光作曲のソングを24曲。とれたてのみずみずしい食べ物のように、みなさんのエネルギーの源になることを願って。
今月のソング(2019年3月7日公開)
♪ねむり〈沖まどか〉/♪馬〈金村慎太郎、飯野薫〉
映像:和久井幸一
萩京子・作曲ノート
ねむり 詩:まど・みちお、曲:萩京子 この歌は、国際的なボランティア団体である「Make A Wish」の活動に共鳴して作曲したという経緯があります。 2005年に作曲しました。 「Make A Wish」は、難病と闘う子どもたちの夢を叶えるお手伝いをする、という活動をしています。 こんにゃく座が2002年に初演したオペラ『どんぐりと山猫』にどんぐり役で出演してくれたMYちゃんは難病にかかり、病院生活を余儀なくされていました。 彼女のために私が作曲して歌をプレゼントする。MYちゃんがそれを「夢」として望んでくれました。 病気と闘っている彼女の心に届く歌。病気を克服しておとなになってからも、口ずさんでもらえるような歌……。 そんな歌をプレゼントしたいと思いました。 そして見つけたのが、まど・みちおの「ねむり」という詩です。 わたしの からだの
ちいさな ふたつの まどに しずかに ブラインドが おりる よる 夜、寝床に横たわる自分のからだについて、まぶたについて、こんな風に感じることができるとは。 「夢」についても語られます。 どんなに ちいさな
ひとつの ゆめも ほかの ゆめと ごちゃごちゃに ならないように 眠りのなかで見るのも「夢」。希望として心に描くものも「夢」。 その2種類の夢が、「ねむり」というキーワード(タイトル)に引き寄せられて、毎日やってくる「夜」も怖いものとしてではなく、「夢」を育む時間として感じられるような詩。 この「ねむり」を歌にしてプレゼントしようと思い、作曲しました。 MYちゃんは、「Make A Wish」が主催するコンサートでこの歌をすてきに歌ってくれました。 そして今はすてきな大人の女性になっています。 +詩を表示
馬 詩:宮澤賢治、曲:萩京子 宮澤賢治の詩による二重唱曲集「風がおもてで呼んでゐる」の中の一曲です。 谷篤史、潤子夫妻の委嘱により、1991年に作曲しました。 ソプラノとバリトンのための二重唱曲としてつくりましたが、合唱で歌われることも多く、女声、男声、混声、人数もいろいろ、さまざまなバージョンで演奏されています。 男声合唱で歌われたのを聞いたときは、作曲したときには思いもよらなかった世界が出現して驚きました。 ああ、これは花巻農学校でのできごとだったのだ、とあらためて感じました。 ところで、二重唱というものは、いったい誰と誰が誰に向かって歌うのか? 作曲当時、そのことを考え込んでいました。 ひとりで歌うのとは違う、ふたりで歌う楽しさと喜びは知っているのです。 それを聞く楽しさも喜びも。 でも、そのふたりは誰なのか? 谷夫妻に向けて作曲する際、そんなことを思い悩み手間取っていましたが、賢治の詩を選び、賢治と妹トシを勝手にイメージすることで、なんとか作曲することができたのでした。 この「馬」という詩は、賢治の詩のなかでは珍しく、わけのわからないところの無い詩です。 とてもくっきりとしたドラマが描かれています。 でも特に前半に賢治らしい、おもしろい表現がいくつもあります。 「よもぎのなかに」の「に」という助詞の使い方とか、「馬鈴薯のようにくさりかけた」とか。 「夕陽の汁」とは何?!人間にとって夕陽は光だけれど、「食塩の結晶したばさばさの頭」を持つ馬にとっては、夕陽は光ではなくて汁として感じられるのかしら、とか。 そもそも塩でなくて食塩というところもおもしろいのです。 「高圧線にかかったように」というところも想像力を刺激されます。 わけのわからないところの無い詩、と言いましたが、賢治の詩はやはり一行一行、たくさんのひっかかりを用意してくれています。 私には「馬」というタイトルのソングがもう一曲あります。 マリー・ローランサンの詩による「馬」です。 ローランサンは画家ですが、詩も書いているのです。 賢治の馬も死んでいきますが、ローランサンの馬も死んでいきます。 死んでいく馬のかたわらに寄り添う詩です。 馬の死は、なにか胸に突き刺さるようなものを感じさせます。 なぜでしょうか? +詩を表示
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♪ゆめ売り/♪明るいほうへ | 2018-07-07 |
♪あくび/♪電車 | 2018-08-07 |
♪わたしのお月さま/♪枯れたオレンジの木のシャンソン | 2018-09-07 |
♪餞/♪朝に晩に読むために | 2018-10-07 |
♪唄/♪電線工夫 | 2018-11-07 |
♪うたかたのジャズ/♪青いカナリア | 2018-12-07 |
♪空をかついで/♪小さな草 | 2019-01-07 |
♪しあわせはこぶ銀のロバ/♪暗い柳の木立のかげ | 2019-02-07 |
♪ねむり/♪馬 | 2019-03-07 |
♪ジャストマイサイズ/♪帽子屋さんの子守歌 | 2019-04-07 |
♪水はうたいます/♪ひびかせうた | 2019-05-07 |
♪雨/♪わたしの好きな歌 | 2019-06-07 |
♪石ころの歌/♪告別 | 2019-07-07 |
♪魚のいない水族館/♪舟のうた | 2019-08-07 |
♪赤い魚と白い魚/♪ちょうちょうさん | 2019-09-07 |
♪花のうた/♪ぼくがつきをみると | 2019-10-07 |
♪わたしのすきなこなひきさん/♪やさしかったひとに | 2019-11-07 |
♪銀河の底で歌われた愛の歌/♪サザンクロスの彼方できこえた父が息子にあたえる歌 | 2019-12-07 |
♪グランド電柱/♪だれが鈴をつけにいくのか | 2020-01-07 |
♪舟唄/♪影とまぼろし | 2020-02-07 |
♪つまさききらきら/♪月の船の歌 | 2020-03-07 |
♪運命のジャズ/♪旗はうたう | 2020-04-07 |
♪壁のうた/♪行ってしまったあんた | 2020-05-07 |
♪ものがたり/♪夢 | 2020-06-07 |
♪パレード/♪すき/♪明日ともなれば | 2021-01-07 |
♪うた/♪しぬまえにおじいさんのいったこと/♪なぞなぞうた | 2021-04-07 |
♪見えない月/♪みえないあみ/♪朝のパン | 2021-07-07 |
♪飛行機よ/♪みみがさわる/♪果てしない波を渡るための歌 | 2021-10-07 |