2018年『よだかの星』特集ページ

うたものがたり『よだかの星』公演報告
2018-04-05




賢治の故郷である花巻、そして熊本、名古屋と3か所で全5ステージ、無事終了しました。たくさんのお客様にご来場いただき、ありがとうございました。
2009年から2014年まで、全国の小学校や子ども劇場、幼稚園などで140回を超える公演を重ねてきた、うたものがたり『よだかの星』。今回は、うたのステージに新たに4人が加わり、『よだかの星』にはサクソフォンも加わっての公演でした。
今回は3か所だけの公演でしたが、またいつの日か、全国へ運んでいきたいと願っています。


【熊本+名古屋公演当日パンフレットより】
うたものがたり『よだかの星』公演によせて
萩京子(作曲/オペラシアターこんにゃく座代表)

宮澤賢治の作品は、声に出して読むとおもしろさが倍増します。ことばに独特のリズムがあって、それが音楽と結びつくと、さらに立体的になり、イメージが膨らんでいきます。私は賢治の作品が音楽と結びつきたがっている、つまりオペラになりたがっている、とさえ感じることがあります。
オペラ『シグナルとシグナレス』(萩京子作曲)の初演が1985年。『セロ弾きのゴーシュ』(林光作曲)の初演が1986年です。1990年代に入ると、こんにゃく座は宮澤賢治歌劇場というシリーズも始め、たくさんの賢治オペラが生まれました。
林光さんも私もこんにゃく座も、宮澤賢治のおもしろさにはまってしまいました。賢治のことばと物語が、新しいオペラを生み出す原動力になったと云っても過言ではありません。宮澤賢治さんは、こんにゃく座の座付き作家みたいな存在なのです。ご本人の承諾は得ていませんけれど(笑)。
『よだかの星』は、オペラとしてではなく、ソプラノとバリトンのデュエットのための作品として1995年に作曲しました。その後、合唱団でも上演できるように混声四部合唱の部分などを加えた改作をし、それをもとに、こんにゃく座が今回ご覧いただく4人ヴァージョンで上演を始めたのが2009年です。
簡素な舞台セットで、どんな場所でもそこを「ぼくたちのオペラハウス」にできる、というこんにゃく座の心意気を表した公演形態です。うたものがたりと称していますが、これもオペラのひとつのかたちだと思っています。
『よだかの星』の前にご覧いただく「うたのステージ」では、宮澤賢治の詩による歌もたくさんお聞きいただきます。
今日は、万華鏡のような賢治ワールドを、どうぞ心ゆくまでお楽しみください。


★★★うたのステージプログラム★★★
【花巻公演+名古屋公演】
♪岩手軽便鉄道の一月[宮澤賢治/詩 林光/曲]
♪電車[宮澤賢治/詩 萩京子/曲]
♪グランド電柱[宮澤賢治/詩 林光/曲]
♪馬[宮澤賢治/詩 萩京子/曲]
♪高原[宮澤賢治/詩 林光/曲]
♪さそりの赤目が見えたころ[宮澤賢治/詩 萩京子/曲]
♪月夜のでんしんばしら[宮澤賢治/詩・曲 林光/編曲]
♪五月ははこだてこうえんち [宮澤賢治/詩 萩京子/曲]
♪すきとおるものが一列[宮澤賢治/詩 林光/曲]
♪祈り[宮澤賢治/詩 林光/曲]
♪風がおもてで呼んでゐる[宮澤賢治/詩 萩京子/曲]
♪星めぐりの歌[宮澤賢治/詩・曲 林光/編曲]


【熊本公演】
♪岩手軽便鉄道の一月[宮澤賢治/詩 林光/曲]
♪電車[宮澤賢治/詩 萩京子/曲]
♪グランド電柱[宮澤賢治/詩 林光/曲]
♪月夜のでんしんばしら[宮澤賢治/詩・曲 林光/編曲]
♪五月ははこだてこうえんち [宮澤賢治/詩 萩京子/曲]
♪うんこ[谷川俊太郎/詩 萩京子/曲]
♪地球は水の惑星[鄭義信/詩 萩京子/曲]
♪空気のうた[朝比奈尚行/詩 萩京子/曲]
♪あくび[谷川俊太郎/詩 萩京子/曲]
♪夢の番人[ラングストン・ヒューズ/詩
木島始/訳 萩京子/曲]
♪歩くうた[谷川俊太郎/詩 林光/曲]


★★★スタッフ★★★
原作/宮澤賢治
作曲/萩京子
演出/大石哲史、萩京子
振付/伊藤多恵
衣裳/島田大翼
舞台監督/西田玲子
主催・制作/オペラシアターこんにゃく座


★★★出演★★★

島田大翼

沖まどか

武田茂

高岡由季

富山直人

沢井栄次

熊谷みさと

冬木理紗

野原孝(サクソフォン)

服部真理子(ピアノ)
※*はうたのステージのみ出演


★★★舞台写真★★★