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すきとおってゆれているのは すきとほってゆれてゐるのは さっきの剽悍な四本のさくら わたくしはそれを知ってゐるけれども 眼にははっきり見てゐない ユリアがわたくしの左を行く 大きな紺いろの瞳をりんと張って ユリアがわたくしの左を行く ペムペルがわたくしの右にゐる 明るい雨がこんなにたのしくそそぐのに 馬車が行く 馬はぬれて黒い ひとはくるまに立って行く すべてさびしさと悲傷とを焚いて ひとは透明な軋道をすすむ ラリックス ラリックス いよいよ青く 雲はますます縮れてひかり わたくしはかっきりみちをまがる (「小岩井農場」パート九より) |