◆4 公演報告

オペラ『遠野物語』は、全11ステージ、無事に公演を終えることができました。
ご来場いただきましたみなさま、ありがとうございました。
今回の公演の成果を糧として、再演、そして東京以外の地での公演へと、夢が膨らんでおります。
また本作の公演が叶いましたら、今回御覧いただいた方も、御覧いただけなかった方も、足をお運びいただけたら幸いです。


オペラ『遠野物語』場面構成/作曲者

1.闇座敷/寺嶋陸也

故郷遠野から東京へと向かう佐々木喜善に、遠野の「闇」たちが語りかける。
喜善の祖父万蔵と、祖母ノヨが喜善を見送る。



2.上野行き東北本線/萩京子

東京へ向かう汽車の中は行商人たちで混みあっている。
喜善は人買いに買われた少女と出会う。




3.山の女神と山女・山男/吉川和夫

柳田国男邸。座敷。同じ下宿に暮らす水野葉舟の後をつけてきた喜善は、自分の原稿を読んでもらいたいと柳田に直談判する。
原稿の稚拙さを指摘され出直すように諭され落ち込む喜善に、柳田が出身地について尋ねる。喜善は、遠野に伝わる物語を語り始める。〈遠野物語三〉




4.餅を喰う坊主/萩京子

喜善が語る遠野物語。〈遠野物語二八〉



5.山女の話/寺嶋陸也

喜善が語る遠野物語。〈遠野物語三五〉


6.山に取られた女/寺嶋陸也

喜善が語る遠野物語。〈遠野物語六〉
柳田は喜善の語る遠野の物語に興味を持ち、今後柳田邸に通い、さらに話を聞かせるよう依頼する。
喜んで柳田邸を後にする喜善。


7.夜道/萩京子

柳田邸を辞し、夜の街を歩く喜善。
稲荷神社の鳥居の向うから、「闇」たちの声が聞こえてくる。


別の日、柳田邸で喜善が語る遠野物語。〈遠野物語八六〉


8.曾祖母の死/寺嶋陸也

喜善が語る遠野物語。話を聞いている柳田もいつの間にか物語の場面に入り込む。〈遠野物語二二〉

祖父万蔵の死を知らせる電報が喜善の元に届く。


9.遠野行き乗合馬車/吉川和夫

柳田と水野は、花巻の宿から乗合馬車に乗り、遠野へと向かう。〈遠野物語序文〉



10.寒戸の婆/寺嶋陸也

土淵村の喜善宅。祖母ノヨがひとりいるも、訛りで柳田と水野はうまく意思疎通がはかれない。
喜善は出かけていて遅くに帰ってくるということを理解したふたりは、そのまま座敷で喜善を待つ。
柳田は以前喜善から聞いた話を語り始める。〈遠野物語八〉




11.オクナイサマ/萩京子

喜善が帰ってくる。柳田は喜善に自費出版した「遠野物語」を見せる。晴れて作家の仲間入りができたと興奮する喜善に、これは柳田先生の本だと水野は言い、ふたりは言い争いとなる。
夜も更け、ひとり座敷に残った喜善は柳田から手渡された「遠野物語」の一節を読み始める。〈遠野物語一五〉
柳田によって描かれた「遠野物語」に感動する喜善と、それを取り巻く「座敷童」と「闇」たち。




12.マヨイガ/吉川和夫

翌朝。起き出してきた柳田に遠野を案内するため、喜善は馬の支度をしにいく。
柳田と水野に、朝餉の支度をするノヨが語り始める。〈遠野物語六三〉




13.芳公馬鹿/寺嶋陸也

遠野を歩く、喜善、柳田、水野。そこへ芳公と呼ばれる男が笑いながら近づいてくる。〈遠野物語九六〉



14.河童の子/吉川和夫

東京の街中。ゴシップ記者たちが水野を追い掛け回している。
遠野の地で、原稿を書いている喜善。〈遠野物語五五〉




15.座敷童/萩京子

喜善宅の座敷。村人たちがおしかけ、喜善に土淵村の村長選挙に出るよう迫る。戸惑う喜善。

喜善は自分の書いた原稿を柳田に送る。〈遠野物語十八・十九・二〇・二一〉


16.死んだ女房/寺嶋陸也

喜善の元に、柳田より返信が届く。
そこには、「文学者としてではなく、研究者に素材を提供する郷土史家として生きるように」、と綴られていた。


村長になる覚悟を決めた喜善に対し、村人たちは、村のために借金をするよう促す。
祖母ノヨが倒れる。
喜善の生き別れの母、タケが訪ねてくる。〈遠野物語九九〉


喜善を包み込む「闇」たち。


17.鹿踊り/吉川和夫

夏、盂蘭盆。
喜善宅には村人が押しかけ、村長になったのに失策ばかりの喜善を責め立てている。そこに水野が現れる。水野は東京で私生活を暴かれたうえ柳田との仲もこじれ、逃げるようにして遠野へとやってきたのだった。
ふたりのまわりにはいつの間にか「闇」と「座敷童」。見える喜善と見えない水野。
どこからか鹿踊りの音が聞こえてくる。


やがて「闇」たちは、喜善に別れを告げ消えていく。


オペラシアターこんにゃく座公演
オペラ『遠野物語』
台本 長田育恵
作曲 吉川和夫、萩京子、寺嶋陸也
演出 眞鍋卓嗣
美術 伊藤雅子
衣裳 山下和美
照明 金英秀
振付 伊藤多恵
舞台監督 八木清市
舞台監督助手 後藤恭徳
音楽監督 萩京子
方言指導 しままなぶ
演出助手 花島春枝
宣伝美術 網代幸介(画)、片山中藏(デザイン)

照明操作 (株)ステージ・ライティング・スタッフ 上原一葉、笹田真珠、川上真希
大道具製作 東宝舞台株式会社
小道具 高津装飾美術(株)
衣裳製作 坂東智代 東宝舞台
美術助手 上野明穂
稽古ピアニスト 入川舜、五味貴秋
音楽助手 小林ゆず子
演出部 泉篤史、大久保哲、白石静香
衣裳部 熊谷みさと、飯野薫、高岡由季
票券 齊藤路都
制作 田上ナナ子、忠地あずみ、湯本真紀、大原小夜子、土居麦、森友希、高橋志野
協力 ニケステージワークス、関谷葉留


◆出演                                                               
髙野うるお
髙野うるお
柳田国男
北野雄一郎
北野雄一郎
佐々木喜善
島田大翼
島田大翼
水野葉舟
梅村博美
梅村博美
ノヨ(喜善の祖母)
大石哲史
大石哲史
闇、万蔵(喜善の祖父)、坊主、政の親父他
佐藤敏之
佐藤敏之
闇、猟師の村田、茂助、福二 他
鈴木裕加
鈴木裕加
闇、タケ(喜善の母)、奈津 他
彦坂仁美
彦坂仁美
闇、老女(喜善の曾祖母)、姑 他
西田玲子
西田玲子
闇、少女、姉、女 他
沢井栄次
沢井栄次
闇、人買い、貞吉 他
沖まどか
沖まどか
闇、座敷童 他
壹岐隆邦
壹岐隆邦
闇、車掌、馭者 他
金村慎太郎
金村慎太郎
闇、芳公、太助 他

大久保藍乃
大久保藍乃
闇、柳田家の女中、狂女、美緒 他
鈴木あかね
鈴木あかね
闇、長者の娘、みよ 他

冬木理森
冬木理森
闇、オクナイサマ 他

フルート/岩佐和弘
チェロ/朝吹元
打楽器/高良久美子
ピアノ/服部真理子

◆会場
俳優座劇場

◆公演日程
2019年2月7日(木)~17日(日)

◆助成
文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術創造活動活性化事業)│独立行政法人日本芸術文化振興会
公益財団法人三菱UFJ信託芸術文化財団

◆後援
遠野市

◆主催・制作
オペラシアターこんにゃく座

写真:前澤秀登
オペラ『遠野物語』宣伝動画


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