飯野薫(いいの・かおる)
2012年入座
東京都西東京市出身
桐朋学園芸術短期大学専攻科演劇専攻修了
オペラ『
グスコーブドリの伝記』
かぷかぷ 役
◆こんにゃく座に入ったきっかけ
飯野/2011年の1月に学校の試演会で、福田善之さんの脚本・演出で『新訂・ワーグナー家の女』というのをやった時に、萩さんが音楽監督として関わってくれて、それで試演会が終わってから2月に、こんにゃく座を初めて見に行ったんですね。『
ねこのくにのおきゃくさま』でした。それがこんにゃく座を観た最初です。それで次の年の卒業公演も福田先生が演出で、『夢、「オセローの稽古」の』というのをやったんですけど、その時にも萩さんが作曲と音楽監督できてくれて、それで今度は『
金色夜叉』を観に行ったんです。
先のことをいろいろ考えていくうちに、歌もお芝居もやりたいと思っていたので、こんにゃく座がやっているみたいなことを自分はやりたいのかな、って思って、オーディションを受けました。
─学校では、演劇の勉強をしていたんだっけ。
飯野/専攻科の演劇専攻でした。その前に、芸術科の演劇専攻ミュージカルコースというところで2年間学んだんだけど、私は“演技”を勉強しなきゃいけないんじゃないかなって思って、もうあと2年、演劇を学びました。
─歌うこととか、演じることをしたいなと思ったのは、いつぐらいから。
飯野/小学4年生の時に、地元の西東京市にある保谷こもれびホールというところで、ミュージカル・ワークショップといって、半年間くらいワークショップをやって、最後に大ホールで、ミュージカルを発表するというのに、幼なじみのお姉ちゃんが出ていて、それを観に行った時、あ、私もやりたい!って思って、応募しました。
それからダンスとか歌とか、ミュージカルを教えてくれるその先生のところに、通うようになって。
─それは、いくつくらいまで?
飯野/いまもレッスンに通っています。
中学、高校と演劇部で、高校の時には、ほかにダンススタジオに通ったりしていました。
─はじめてこんにゃく座を観た時の感想とか、印象っていうのはどういう感じだった。
飯野/印象は、こんなことやっている人たちがいるんだなって思いました。
今まで観ていたミュージカルと違って、なんかもっと、歌でしゃべっている感じがして、歌でお芝居している感じがしました。お客さんと近くって、さりげないっていうか、寄り添っている感じ。舞台上は別世界、というのではなく、距離感が近くて、生音だし、観客として入っていきやすかったです。
◆宮澤賢治作品との出会い
─宮澤賢治の作品とは、子どものころに出会っている?
飯野/教科書に載っていた「雨ニモマケズ」と、「注文の多い料理店」を、国語の授業で音読とかしたような記憶がある。
─その時の印象は?
飯野/「雨ニモマケズ」は、難しいなって思いました。でも、「注文~」は、なんか子ども扱いされていない感じがして、おもしろいなって思った。でも、それ以降はあまり出会う機会がありませんでした。
◆オペラ『グスコーブドリの伝記』
─じゃあ、ブドリを読んでみて、印象はどうでしたか。
飯野/印象は、おもしろかった。明るくって楽しいな! というのとは違う印象のおもしろさを感じた。最後にブドリが、自分が残るって言うところがすごい印象に残った。
─その部分は、悲観的なというか、悲しい、暗いものというふうには思わなかったの。
飯野/思わなかったです。ブドリがその決断にいたるまで、なにがあったのかなとか、なにを考えたのかなとか、そういうことに興味を感じて、そのことを考えてみるのが、おもしろい。
─なるほどね。これまで出演した、『
銀のロバ』のココとか、『
ロはロボットのロ』でも奇遇にも同じ役名のココを演じて、どちらかと言うと、ひとつの役を生きるというふうだったと思うんだけど、今回は、“かぷかぷ”、文字たちという、いわばコロス的存在の役だけれど。
飯野/そうなんです。今までに出演した『銀のロバ』や『ロはロボットのロ』は、台本を読んだら、こういうふうにしたらいいんじゃないか、て思うことができたんだけど、今回の作品は、稽古が始まってみないとなにをどうしたらいいのかわからない。だからすごく稽古が楽しみです。久さん(
佐藤久司)のブドリも楽しみ。
寺嶋さんの新作のこの公演には、もともと音楽を勉強してきた人たちが出演することになると勝手に想像していたから、自分が出演することになってびっくりしました。
寺嶋さんの演奏に、あまりに感動して鳥肌がたったことがあったので、そんな寺嶋さんの音楽をお客さんにちゃんと届けたいなって思います。
2015年 オペラ『ロはロボットのロ』ココ役(右が飯野薫)
(聞き手・田上ナナ子/こんにゃく座制作)