◆うたものがたり『よだかの星』出演者インタビュー その2 高岡由季2018-02-25
オペラシアターこんにゃく座 歌役者
高岡由季(たかおか・ゆき)
2014年入座。富山県高岡市出身、東京学芸大学卒業。
テーマ:「色」
─お題は、【色】ということで。ではまず、好きな色は何色ですか?
高岡(以下、高)/何色が好きというよりも、《色》が好きなんです。
─そしたら、例えば、小さいときに好きだった色とかはある?
高/小さいときは、ピンクとかはおこちゃまが好きな色だから「やだ」って感じで、赤が好きって言っていました。
─着るものとかは。
高/小学校六年生の時には、一週間分のコーディネートを自分で考えて事前に決めてましたね。でも、本当に最近まで、モノトーンの組み合わせか、色があるものの組み合わせくらいしか考えられなくって、黒と灰色と茶を合わせるとか、「絶対無理!」みたいな感じに、思っていて。
─でもそういうコーディネートしている人っているじゃん。そういう人を見て、えーっ? なにあれ? て思うわけ?
高/それがそうじゃないんですよ。自分はそういうふうには着ることができないっていう謎のこだわりがあったんです。でも最近はなんだかどうでもよくなってきました(笑)。
ところで、小さいころ、色鉛筆でおままごととかしませんでしたか?
─色鉛筆でおままごと? どういうこと?
高/うちにはお人形とかがなかったから、色鉛筆を人に見立てておままごとしてたんですよ。赤色がお母さんで、青色がお父さん、子供の女の子がピンクで、男の子が水色で、その友達が黄緑で、女の子の友達は黄色で、みたいな。色の相関図で関係を決めていた。
─私の勝手な印象でいうと高岡は、たとえばユニクロとかで同じ形でいろいろな色で展開されているものがあった時に、一番人気のない色を買いそうなイメージがある(笑)。一番人が選ばなさそうな色を、そういった理由ではなく、自分が好きなのがたまたまそうだからそれを選んでいるっていう、なんかそういうイメージなんだけど。
高/(笑)そうですか? なんでしょうね。でもたしかに普通にみんなが買う、オーソドックスな色より、違うものを選ぶっていう傾向はあるかもしれないな。
昔は、カーキ色とコバルト色とかエメラルドグリーンとか、そういう色の服ばっかり選んでましたね。でも最近は、ダメですよ。服はできるだけ買わないで生きていこうと思っていて、無難な黒ばっかり買おうって(笑)。
─たしかに、黒のイメージもあるね。
家のインテリアとかには、色のこだわりはあるの?
高/ありますよ! キッチンは全部青。
─キッチン用品とか?
高/そうです。青以外買わないって決めていて。フライパンとか、濃いめの青っていうか、純度高めの青がいいなって思っているんです。NHKでやっている「グレーテルのかまど」っていう番組のセットのキッチンが全部青で、すっごいかわいいんですよ。冷蔵庫も青のペンキを買ってきて塗ったり、タイルを買って貼ったり。青がいいなって思っているんです。
─ああ、あの番組は、夜の設定だし…
高/なるほどね、それもあるか。それと北欧にあこがれているんですよ。
─本当に? えー、すっごい似合わないんだけど。高岡って「北欧」とか言うんだ。じゃあ、インテリアとか、北欧風なわけ?
高/無い無い(笑)。見ていて楽しいってだけで。
─ベッドカバーとか、カーテンとかって、家でも面積が大きいじゃない、そういったものの色は?
高/こだわりあります。それは、四色なんです私は。濃い茶色と、薄いベージュと青と黄色。そういう色のコーディネートを目指してがんばってます。
でもお姉ちゃんが誕生日とかに、ピンク色のクッションとか送ってくるんですよ。すっごい私とセンスがあわなくって!
─その四色の色合いにこだわりはじめたのはいつから?
高/いまの家に住み始めてからです。前の家(寮)では、ピンクと黄緑をテーマにやっていたんですけど、大学を出たら、おとなになろうと思って。青と黄色と茶色とかってすごいいい。
─落ち着く色? 家に帰って落ち着くのがいいもんね。
高/はい。でも最近はもうインテリアもどうでもよくなってきました。物も色もちらかっている(笑)。
ベッド周りと、高岡が自分で作った絵本ラック
─絵を見たりするのは好き?
高/好きなほうです。シャガール展に行きたいんですけど、なかなか機会がなくって。
─シャガールが好きなの?
高/いや。興味がある。
─そうか、好きと興味がある、は別だね。自分で絵を描くのも好きだよね。
高/好きですね。人よりは。
─これも勝手なイメージなんだけど、高岡は、たとえば花を描くときに、葉っぱとかを緑色で書かなそうな感じ。そういうところを感性でまったく違う色で書きそうなイメージなんだけど、子供の頃ってそういうところはわりとまっとうだったの。
高/まっとうです!! A型の、常識人でしたよ。かなり。
─いまとつながらないねー(笑)。子供のころの高岡のことは知らないから、私が勝手にいまの高岡をさかのぼっていくと、そこにはたどり着かないんだよね。
高/それはきっと、おとなになってアーティスト気取りになったからです(笑)。
─感性というより、意識して選んでるっていうことなのかな。
高/そうですね。私より、センスのある人はこういうふうに選ぶんだろうな、って感じで選んでいるんだと思います。
─印象としては、頭で考えるというよりも、心のおもむくままにやっていそうなタイプに見えるんだけど。
高/おもむいてはいます、一応。具体的にどういうところですか。
─言動とか。
高/言動。
─でも、逆に頭で考えてそれができるっていうのはすごいな。
高/昔は小綺麗な絵しか描けなくってそれがコンプレックスだったので、大石さん(大石哲史)の字とか味があるじゃないですか、そういうのにめっちゃあこがれます。
─いわゆる、優等生だったの?
高/めっちゃ! それはもう!
小中、ほとんどオールAみたいな。オールじゃなかったかな。でもほとんどそうで、すっごい素直で優しくて、面白い子で素晴らしいですね、って先生がほめてくれる。そのうえやりたがりなんで、学級代表とかになりたがりでしたね。かなり先生が頼りにする感じの生徒でした。勉強もできるんだけど、図工の時間のあとは休み時間もずっと作業を続けるっていうような人だったんです。
それが、高校から崩れ落ちて(笑)。高校に入ったら勉強しなくなって。
─それは、なんで?
高/まわりの人よりできなくなったからですかね。ついていけないってわけじゃないんです。数学とかはできたんですよ、でも、覚えるとか、勉強しないとできないことができなくって、ほとんど教室にいませんでしたね。保健室いったり、屋上いったりして、過ごしてました。
もともと好奇心旺盛で、興味のあることはがんばるタイプだから、その軌道がうまく勉強に向いていたんでしょうね、小中学校の頃は。
─友達もいて、リーダーもやって。
高/昔から、「変り者だね」とは言われてきました。
─「変わっている」と言われることは、どうなの。
高/いやではないです。でも「何を考えているかわからない」と言われたときは、ちょっとショックでした。
─ああ、案外あるかもね、何を考えているのかな? ってところ。高岡は、喜怒哀楽でいうと「怒」があんまり表に出ないよね。あんまり怒っているところを見たことがない。いつも「喜」って感じ。あんまり怒らない?
高/いや、稽古場ではけっこう、怒怒(どど)しているかもしれない。
─でも、そのことにからめとられないというか、ほかに楽しいこととか喜ばしいことがあると怒っていることにひきずられずに切り替えられそう。ぐじぐじする?
高/家では結構ぐじぐじするかも。
─あ、それもなんとなくわかるな(笑)。
(聞き手・田上ナナ子/こんにゃく座制作)