オペラ『十二夜』

新作初演時の公演評(抜粋)


(撮影 岡原進)

1989年2月3日〜12日
俳優座劇場

毎日新聞1989年2月18日・夕刊

  生き生きと文句なしに楽しい

全5幕の原作のストーリーをほとんどすべて生かし、幕なしの正味2時間20分にまとめた台本は、スピーディーな流れを生む。原作にはない四人組の「女道化師軍団」が登場するが、この軍団はエリザベス朝風マドリガルのリコーダーを奏する楽士でもあり、ときに応じて端役に変じ、また登場人物の心中を聴衆に伝えるなど大活躍。そして異例の「共同作曲」。林と萩は共同台本のうち音楽付きの計23場を、ほとんど交互に受け持っている。もちろんそれぞれの受け持ち部分に両者の個性はみられるが、全体として音楽もまた原作にあふれることば遊び(小田島の名訳が見事に生きていた)風に、ひねりと遊びに満ちた連鎖を成し、大成功。文句なしの楽しさは、同座の『フィガロの結婚』をもはるかにしのぐ。
(武田明倫)

東京新聞1989年2月17日夕刊

  言葉と音楽の幸せな関係

おそらく日本ではじめて本格的に試みられたシェークスピアのオペラ化である。嬉しいことに拙訳に合わせて作曲されているから、日本語の意味がはっきり伝わる歌になっており、林・萩コンビの、恋するときめきのようなリズムに乗って、祝祭喜劇の楽しさをあふれさせる舞台になっていた。
(小田島雄志・東大教授)

音楽芸術1989年4月号

流れ出る台詞・歌。
シェイクスピアの精神を具現化した見事な舞台

台本の日本語は小田島雄志の訳を用いたが、駄洒落、地口、かけ言葉、語呂合わせ、卑語雅語、次から次へと息もつかせず溢れ出る台詞と歌の洪水、これは全くシェイクスピアの世界そのものではないかと感じ入った次第である。つまり、林と萩、演出家の加藤直以下のスタッフ、及び出演者一同、シェイクスピア劇の筋を借りながら、原作者の劇場精神を現代日本で見事に具現化してみせた、そのヴァイタリティにすっかり心打たれたのだった。
(中村洪介)

音楽旬報1989年3月1日号

シェークスピア一流の饒舌を、セリフから歌へと見事にこなす歌唱術は、何といってもこんにゃく座ならではの大きな武器だ。だが、それにも増して有力な支えとなったのは、作曲の適切さだろう。器楽はピアノと電子ハープシコードを主体に、リコーダーを随時加える中で中世・ルネッサンスの古雅な旋律も織り込まれて、素朴な活力に満ちている。そのシンプルな音楽性はシェークスピアの世界にふさわしいだけではなくこんにゃく座の表現力の特性にも良く見合い同座の優れた面が集約して引き出された感がある。
(関根礼子)

シティロード1989年3月号

始めて観たこんにゃく座・オペラ『十二夜』は、すごく面白かった。外国からの大規模な輸入品も良いが、日本にも新しいオペラを創っている人達がいるのだと改めて発見。それもオリジナルな視点で。過去に観てきた『十二夜』の中で、フランスの太陽劇団の作品に匹敵するのではないかとも思う。
(九條今日子・人力飛行機舎)


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